統合失調症という病気をご存知でしょうか?人口の約1%の人が発症するというかなり多い病気です。主な症状は、ありもしない声が聞こえる幻聴や、周囲の人が自分を攻撃するというような被害関係妄想、自分の考えていることが周囲に筒抜けになってしまうという自我障害などです。これらの症状が、周囲の人には理解しがたく、時に不気味に思われてしまうこともあります。他には、不安・抑うつなど感情障害、集中力や処理能力の低下といった認知機能障害も認められます。抗精神病薬は、統合失調症の症状を改善する作用をもった薬です。脳の中のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質を調整することで効果を発揮します。10年位前まで主流だった古いタイプの抗精神病薬には、手が震えるとか筋肉の緊張が強くなりすぎる、よだれが増えるなど副作用があり、患者さんを苦しめ、治療中断につながることがありました。このような副作用を錐体外路症状(EPS)といいます。現在主流となった新しいタイプの抗精神病薬はEPSが少ないという利点があります。また、感情症状や認知機能障害に対しては、古いタイプより新しいタイプの薬が優れていると言われています。さらに、新しいタイプの薬は、患者さんが飲みやすいように、錠剤だけではなく口の中でさっと溶けるタイプ(口腔内崩壊錠)や液体のものなどさまざまな剤形が工夫されています。ただ、やはりどんな薬も万能ではなく、副作用があります。新しいタイプの薬は体重増加や、血糖上昇、脂質代謝異常などを引き起こすことがあり、定期的な採血チェックなどが必要です。また、当然ながら患者さんの治療継続は薬の改善だけで得られることはなく、何と言っても良好な医者-患者関係が最も重要です。