日本橋メンタルクリニックへは、時々このAさんのような方が、他のメンタルクリニックから「流れて」きます。前の医師の診断が何であれ、先入観にとらわれず問診をさせていただき、新しく診断しなおすことにしていますが、パニック障害の診断が間違っていることはほとんどありません。出されている薬の内容はSSRIと抗不安薬の組み合わせで、これも間違っていることはあまりありません。
しかし、患者さんに「前の先生からどんな病気と説明されましたか?」と尋ねると、多くの方は「医者は余り説明してくれなかった」とおっしゃいます。そこで、「では、治療はどうすればいいと言っていましたか?」と訊くと、「薬を飲んで、無理をするなと・・・」程度の答えがほとんどです。
当院では、このAさんのような患者様に、パニック障害の心理学的な治療(認知行動療法)も薬物療法と併用しています。まず、パニック発作とは「不安という警報装置の誤報」であることや、その不安を危険なものとして「誤って学習した」結果、「種々の回避行動」が生じていること、そしてそれらの回避行動が病気を維持・悪化させる「悪循環が生じていること」などを説明します。次に、不安コントロール技法としてのリラクゼーションを指導し、最終的には、回避行動をやめて不安な状況に暴露させる行動療法を施行します。ちなみに、治療は保険の範囲で行っています。
Aさんと同様に他院で2年以上の治療を受けてから、当院開院当初に来られたBさんは2ヶ月の治療で、混んでいる電車に乗ることにも抵抗がなくなり、今度は飛行機に挑戦するところまで回復しています。